私は村上春樹がとても好きなので彼の本を色々と買い込んでいるのだが、本棚を見て「そういやちゃんと読んでなかったな」と思った本があった。 それが、「若い読者のための短編小説案内」(文春文庫, 2004年(単行本1997年))だった。手に取った当時この本を読めなかったのには明確な理由があった。この本では、「第3の新人」という日本の文学史のなかの一群の作家の短編を扱っているのだが、私は当時日本文学に興味を持っていなかった。それが理由である。 ところが、ここのところ急激に日本文学に興味をもつようになった。 これについては前記事で:「 好きな日本人作家の話 」 という流れがあり、今回本書を読むことにした。 この本の中では6人の、第3の新人に類される作家が扱われる。 以下に扱われている作家の情報をまとめる(入手困難か否かについては、書店で発注して入荷してもらえるか確認した結果。Amazon等で探せば中古なら下記の全集以外の収録書籍を入手可能。全集で読むなら図書館で探せば恐らく見つかるはず)。 小説家名 作品名 今回確認した収録書籍 入手困難? 吉行淳之介 水の畔り 吉行淳之介全集1(講談社) 困難 小島信夫 馬 アメリカン・スクール (新潮文庫) 購入可能 安岡章太郎 ガラスの靴 質屋の女房 (新潮文庫) 購入可能 庄野潤三 静物 プールサイド小景・静物 (新潮文庫) 購入可能 丸谷才一 樹影譚 樹影譚 (文春文庫) 購入可能 長谷川四郎 阿久正の話 現代の文学22 長谷川四郎 開高健 (講談社) 困難 吉行淳之介「水の畔り」については、この作品は探しづらいが、芥川賞受賞作品でもある「驟雨」を収録する「原色の街・驟雨」等は購入可能(「水の畔り」はマイナーな作品のようですね)。この本に収録されている「漂う部屋」は「水の畔り」と同じ病室を扱った短編。 長谷川四郎「阿久正の話」については、この作品だけでなくこの作家の単行本そ